Q.職務発明の対価をあらかじめ定めておくことはできますか?
職務発明の対価をあらかじめ定めておくことはできますか?
できます。ただし、あらかじめ定めた対価が有効になるには、その「定め」による対価が不合理と認められないことが必要です。
その「定め」が不合理でないか否かを判断する基準として、法が定めているのが、以下の観点です。
- ①
- 対価を決定するための基準の策定に際して使用者等と従業者等との間で行われる協議の状況
- ②
- 策定された当該基準の開示の状況
- ③
- 対価の額の算定について行われる従業者等からの意見の聴取の状況
- ④
- 等
もっとも、法は、具体的な考慮要素として上記の3つの点を挙げていますが、④で「等」とあるように、これらはあくまで例示であり、不合理性の判断は、総合的な判断です。
①から③の例示からも明らかなように、法は、対価の額が決定されるまでの手続き面を重視していますが、実体面要素が考慮されないわけではありません。よって、たとえば、手続面では不合理でない場合であっても、その結果支払われた対価が、社会通念上、きわめて低額であった様な場合には、不合理と判断されることもありうるということです。
対価の額が紛争になった場合、職務発明規定の策定の過程が問題となりますので、職務発明規定を策定する場合には、協議の状況を証拠化するように努めるとよいでしょう。